自動車保険の更新手続を忘れると発生するリスクとデメリット
(最終更新日:2020年10月16日)
年に一度訪れる自動車保険(任意保険)の補償の満期日。
毎年の手続であり、つい更新を忘れてしまいそうになることもあるかと思います。
自動車保険(任意保険)自賠責保険とは異なり加入が義務付けられているわけではなく、補償が切れていたとしても
公道を走ることは可能です。
ですが自動車保険(任意保険)には自賠責保険では補償範囲も補償金額も足りないため、
自動車保険(任意保険)の補償が切れた状態で公道を走ることは絶対に避けて下さい。
今回は自動車保険(任意保険)の更新手続を忘れると発生するリスクとデメリットについてご説明致します。
目次
自動車保険(任意保険)補償が無くなり自賠責保険のみの補償になるリスク
更新手続きを行わないと満期日時を持って自動車保険(任意保険)の補償がなくなります。
そのため万が一のことがあった場合の補償は加入が義務付けられている自賠責保険のみになってしまい
非常にリスクが高い状態になります。
自賠責保険とは何か?
「自賠責保険」とは法律によって全ての車の所有者に加入が義務付けられている保険です。
万が一加入していない場合や補償期間の有効期限切れの場合などは、罰金や免許証の点数が減点などの対象となります。
自賠責保険で補償される範囲は「対人」(事故の相手側にケガをさせたり死亡させたりした場合の補償)のみに
限定されており、その補償限度額は以下の通りです。
補償限度額:ケガ120万円 死亡3,000万円 後遺障害4,000万円
自賠責保険だけでは補償範囲も補償金額も足りない。
自賠責保険で補償される範囲が「対人」のみに限定されているため、歩行者の所有物への補償(対物補償)や
自動車を運転していた者や同乗者の治療費(人身傷害など)、自身の自動車の修理代(車両保険)などは
補償対象外となります。また「対人」の補償金額についても、万が一の場合には最大3,000万円の補償をされますが、
歩行者に万が一のことがあった場合には高額な賠償責任となり最大3,000万円という補償限度額では
不足するケースも考えられます。
自賠責保険でも補償されない範囲の賠償責任や補償金額を超える賠償責任については原則加害者本人が負担となります。
自動車保険(任意保険)の補償が無くなるタイミングにも注意
更新を忘れると自動車保険(任意保険)補償が無くなり、自賠責保険で補償範囲も補償金額も足りないリスクを
ご説明致しましたが、自動車保険(任意保険)の補償が無くなるタイミングにも注意が必要です。
自動車保険(任意保険)は満期「日時」を持って補償が無くなります。
次のモデルケースを元に自動車保険(任意保険)の補償期間についてご説明致します。
・自動車保険(任意保険)の1年契約に加入しているAさん
・2019年4月1日午後4時から2020年4月1日午後4時までの1年間の補償
・自動車保険(任意保険)の補償には対人補償などを含む。
2020年4月1日午後1時に発生した人身事故・・・自動車保険(任意保険)の補償対象
2020年4月1日午後6時に発生した人身事故・・・自動車保険(任意保険)の補償対象外
同日に発生した人身事故であったとしても発生した時間帯によって自動車保険(任意保険)の補償対象となるか否かが
変わってきてします。
補償期間を「○○日まで」と思われている方も多いですが
自動車保険(任意保険)の補償期間は「○○日○○時まで」ということを覚えておくと良いでしょう。
自動車保険(任意保険)のノンフリート等級と事故有係数期間の継承が出来ないデメリット
更新手続きを行わないと満期日時を持ってノンフリート等級と事故有係数期間もリセットされてしまいます。
自動車保険(任意保険)のノンフリート等級とは何か?
自動車保険(任意保険)のノンフリート等級という制度についてご説明致します。
自動車保険(任意保険)のノンフリート等級別料率制度とは「1~20等級」の等級区分があり、保険事故の実績に応じて、
保険料の割引または割増が適用される制度です。
ノンフリート等級は原則6等級からスタートして、補償期間内に事故が無かった場合、新契約の等級は1等級上がります。
逆に事故があった場合には事故種類により等級が1等級もしくは3等級下がります。
高いノンフリート等級ほど契約者は高い保険料割引率の恩恵を受けることが仕組みです。
自動車保険(任意保険)の事故有係数期間とは何か?
自動車保険(任意保険)の事故有係数期間という制度についてもご説明致します。
先に説明したノンフリート等級で7~20等に関しては「前契約で事故が無かった契約者向けの通常の保険料割引率(無事故)」と
「前契約で事故があった契約者向けの少し低めの保険料割引率(事故有)」が存在します。
1等級ダウン事故が一件で「1年間」。3等級ダウン事故が一件で「3年間」。
その期間は「前契約で事故があった契約者向けの少し低めの保険料割引率(事故有)」での保険料となります。
次のモデルケースを元に自動車保険(任意保険)の補償期間についてご説明致します。
・13等級でダウン事故が無いAさん。13等級で1等級ダウン事故が1件あるBさん
Aさんはダウン事故が無かったため「前契約で事故が無かった契約者向けの通常の保険料割引率(無事故)」の適用となり
保険料の割引率49%となります。
対してBさんは1等級ダウン事故が1件あるため、「前契約で事故があった契約者向けの少し低めの保険料割引率(事故有)」の
適用となり割引率29%となります。
同一のノンフリート等級であったとしても約20%の保険料割引率の差が出てきます。
なお、Bさんは「前契約で事故があった契約者向けの少し低めの保険料割引率(事故有)」が適用となる期間が1年であるため、
この補償期間中にBさんに事故が無かった場合には、
翌年の契約はAさんと同様の「14等級」で「前契約で事故が無かった契約者向けの通常の保険料割引率(無事故)」が適用され
割引率はともに50%となります。
更新手続きを忘れるとノンフリート等級と事故有係数期間はどうなるのか?
さて話を戻しまして、ノンフリート等級と事故有係数期間の継承についてご説明を続きます。
自動車保険(任意保険)の補償と異なり、満期日時をもって即時にリセットされるわけではございません。
前契約の満期日の翌日から7日以内に、自動車保険(任意保険)を継続された場合には
ノンフリート等級と事故有係数期間の引き継ぎが可能となります。
前契約の満期日の翌日から8日以上空いてしまった場合は、前契約のノンフリート等級の引き継ぎはできず
6等級からの再スタートなります。
デメリット等級や事故有係数期間が残っている場合はどうなるのか?
ここでご注意頂きたい点が有ります。
「デメリット等級の場合でも、満期日を8日以上あければ6等級に戻るのか?」
「事故有係数期間がまだ1年間残っている場合でも満期日を8日以上あければ無くなるのか?」という点です。
結論は「デメリット等級は満期日を8日以上あけても6等級には戻りません。」
「事故有係数期間も1年間残っている場合、満期日を8日以上あけても無くなりません。」
原則6等級から始まる自動車保険(任意保険)ですが事故が発生することで当然6等級以下になるケースもございます。
1等級~5等級は「デメリット等級」と言われており、割引率が低かったり割増率が発生したりします。
自動車保険(任意保険)では、前契約の満期日(または解約日や解除日)から13か月間に自動車保険を開始する場合には
デメリット等級・事故有係数適用期間が引き継がれるルールとなっております。
これは前後の自動車保険(任意保険)で保険会社を変更したとしても前契約の等級・事故有係数適用期間が引き継がれます。
自動車保険(任意保険)の更新手続きを忘れないためには?
以上のように更新手続きを忘れると「自動車保険(任意保険)の補償が無くなる。」というリスクと
「ノンフリート等級と事故有係数期間が継承できない。」とデメリットを追うこととなります。
そもそも更新手続きを忘れないためにはどうしたら良いのでしょうか?
「代理店型自動車保険」と「ネット通販型自動車保険」の更新手続きについてご説明していきます。
代理店型自動車保険の更新手続き
「代理店型自動車保険」とは自動車ディーラーや保険代理店などで加入できて、担当者から直接説明を受けることが
できる自動車保険のことをいいます。
保険代理店の担当者が満期日2~3か月前に自動車保険(任意保険)の更新案内を契約者宛に連絡をしてくれます。
お電話の手続や更新書類を記入して変更することで更新手続きは完了となります。
ネット通販型自動車保険の更新手続き
「ネット通販型自動車保険」とはパソコンやスマホを使って調べて、ご自身で加入する自動車保険のことです。
こちらは満期日2~3か月前に契約者様指定のメールアドレスに満期連絡が入り、自身でインターネット更改手続を行います。
原則としてご自身での能動的な更新手続きが必要となりますので更新漏れが無いように注意が必要です。
どちらの場合にせよ自動車保険(任意保険)の更新手続き自体が早い事で発生するデメリットはあまりございません。
保険会社から連絡があった際に速やかに手続きを取ることをお勧め致します。
本記事は一般的な自動車保険の内容に基づいて作成しております。そのため各保険会社によって取扱いが異なる場合があります。詳しくは各保険会社や代理店にお問い合わせください。
自動車保険(任意保険)の更新手続きを忘れると補償が無くなるリスクや、ノンフリート等級継承と事故有係数期間の
継承できないデメリットなど非常に大きな影響が出てしまいます。
満期日の2~3か月前には連絡が入りますが、早い更新手続きによるデメリットはございませんので
保険会社から連絡があった際に速やかに手続をとることをお勧め致します。