飲酒運転の時に自動車保険(任意保険)は適用されるのか?
(最終更新日:2020年09月15日)
「3,047件」
何の数字だと思われますか?
実はこの件数は警察庁が発表している令和元年の飲酒運転による交通事故件数です。
前年と比べて減少しているものの、その件数は近年では下げ止まり傾向にあるようです。※1
飲酒運転は極めて悪質で危険な犯罪です。
そこで本日は、飲酒運転の時に自動車保険(任意保険)は適用されるのか?という点について解説していきます。
目次
飲酒運転とはなにか?
一言に飲酒運転といっても実は3種類に分類することができます。
酒酔い運転 …アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態での運転
酒気帯び運転(0.25mg以上)…呼気1リットル中のアルコール濃度0.25ミリグラム以上での運転
酒気帯び運転(0.25mg未満)…呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満での運転
飲酒運転では「酒酔い運転」>「酒気帯び運転(0.25mg以上)」>「酒気帯び運転(0.25mg未満)」の順序で
ペナルティが大きくなります。そして次に上記の飲酒運転には3種類のペナルティがあります。
行政処分
刑事処分
民事処分
それではそれぞれの飲酒運転について具体的にどのようなペナルティなのかを見ていきましょう。
行政処分とは何か?
行政処分とは、交通違反や交通事故を起こした場合に公安委員会が行う行政上の処分です。
交通違反や交通事故の内容や責任の重さに応じて運転免許に違反点数を加算されます。
加算された点数が一定の基準に達すると、「免許取り消し」や「免許停止」などの処分を受けることになります。
飲酒運転における行政処分は以下の通りです。
酒酔い運転 …違反点数 35点 / 免許取消し / 欠格期間3年(※2,3)
酒気帯び運転(0.25mg以上)…違反点数 25点 / 免許取消し / 欠格期間2年(※2,3)
酒気帯び運転(0.25mg未満)…違反点数 13点 / 免許停止90日(※2)
※2 前歴及びその他の累積点数が無い場合 ※3 「欠格期間」とは運転免許が取り消された場合、運転免許を受けることができない期間をいいます。
刑事処分とは?
刑事処分とは、人身事故など起こした加害者が刑事事件として立件され罰金刑や懲役刑などの刑罰が科される処分です。
行政処分は運転者が対象でしたが、刑事処分は運転者だけに限りません。
「車両等を提供した者」や「酒類を提供した者又は同乗した者」も刑事処分の対象となります。
酒酔い運転の場合
運転者 …5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
車両等を提供した者 …5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
酒類を提供した者又は同乗した者…3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金
酒気帯び運転の場合
運転者 …3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金
車両等を提供した者 …3年以下の懲役又は 50万円以下の罰金
酒類を提供した者又は同乗した者…2年以下の懲役又は 30万円以下の罰金
罰則を見ると、運転者と車両等を提供した者の罰則規定は同じであることが分かります。
それだけ車両等を提供した者の責任が重大であるといえるでしょう。
民事処分とは?
民事処分とは、加害者に発生する被害者への損害賠償金支払義務です。
相手の被害状況によっては多くの賠償金額となる場合があります。
そのため運転者には自動車保険(自賠責保険)と自動車保険(任意保険)が用意されております。
もしも飲酒運転の時に自動車保険(任意保険)は適用されるのか?
さてここからが本題です。
もしも飲酒運転の時に自動車保険(任意保険)は適用されるのかという点をご説明致します。
結論は民事処分に対して補償される部分と補償されない部分があります。
補償される部分
飲酒運転でも補償される部分は相手方に対する補償である「対人補償」と「対物補償」です。
「対人補償」とは他人にケガをさせてしまったり死亡させてしまったりした時に発生する賠償責任の補償で、
また「対物補償」とは他人の所有物を壊してしまった時に発生する賠償責任の補償をいいます。
被害者側には加害者側の飲酒運転で発生した交通事故の責任は当然なく、
被害者保護の観点から「対人補償」と「対物補償」は補償されるためです。
補償されない部分
飲酒運転で補償されない部分は「人身傷害」と「車両保険」です。
「人身傷害」とはご自身や同乗者がケガをしたり死亡したりした場合の補償をいいます。
飲酒運転では運転者自体に「人身傷害」の補償はされませんが、同乗者には「人身傷害」の補償される場合があります。
また「車両保険」とはご自身の自動車が壊れた場合の補償をいいます。
飲酒運転は極めて悪質で危険な犯罪で決して許されるべき行為でもありません。
絶対に飲酒運転はやめましょう。
本記事は一般的な自動車保険の内容に基づいて作成しております。そのため各保険会社によって取扱いが異なる場合があります。詳しくは各保険会社や代理店にお問い合わせください。
※1 出典 警察庁 飲酒運転による交通事故件数の推移(平成21年~令和元年)
飲酒運転の被害者になってしまった場合でも、被害者保護の観点から自動車保険(任意保険)から
「対人補償」と「対物補償」が補償されます。
飲酒運転は極めて悪質で危険な犯罪であり、行政処分や刑事処分、民事処分などのペナルティがあります。
飲酒運転は極めて悪質で決して許されるべき行為でもありません。絶対に飲酒運転はやめましょう。