自動車保険(任意保険)加入中でも「もらい事故」の場合には保険会社は対応できないは何故か?どうすればよいのか?

(最終更新日:2020年09月04日)

どれほど安全運転を心がけていても防ぎきれない事故が「もらい事故」です。
これはもう災難としか表現できない事故です。
先日もあるお客さまから「もらい事故の場合には自身が加入している自動車保険の保険会社は何もしてくれないと
聞いたけど本当?」という質問を頂きました。実際はどうなのでしょうか?
今回は自動車保険では、もらい事故に保険会社は対応できないは何故か?どうすればよいのか?について解説致します。

もらい事故とは何か?

「もらい事故」とは自動車事故において加害者側のみに過失があり、被害者側に過失がない自動車事故のことをいいます。

過失割合(※)でいうと、加害者:被害者=10:0となります。

※過失割合とは交通事故が発生した場合に、その当事者間の責任割合のことをいいます。

 

もらい事故の具体例

・法定速度で公道を走行中にセンターラインをオーバーしてきた自動車と接触した。

・停車可能な場所で停止中に後方から来た自動車に追突された。

・青信号で交差点を直進中に、別方向から来た自動車が赤信号で直進してきて追突された。

 

もらい事故に保険会社は何故対応できないのか?

一般的な交通事故の場合、自身と相手側には一定の過失がお互いにあります。

そのため一般的な交通事故があった場合に自身と相手側が、それぞれ加入している保険会社同士が当事者として示談交渉します。

その一方でもらい事故の場合は、被害者側の保険会社加害者側と示談交渉ができません。

 

その理由は弁護士法に起因します。弁護士法の第72条にこのような条文があります。

「弁護士又は弁護士法人でない者は,報酬を得る目的で訴訟事件,非訟事件及び審査請求,再調査の請求,再審査請求等

行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定,代理,仲裁若しくは和解その他の法律事務を取扱い,

又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし,この法律又は他の法律に定めがある場合はこの限りでない。」

 

もらい事故の場合、過失割合が被害者側は「0」なので、被害者側が加害者側に対して損害賠償責任が発生しません。

そのため被害者側の保険会社はこの交通事故においては無関係の立場となり当事者ではなくなります。

無関係の立場にある保険会社が被害者側として加害者側と示談交渉務を行うと、この弁護士法の第72条のこの条文に

抵触する可能性があるため保険会社は対応することが出来ません。

 

もらい事故にあってしまった場合の対応は、どうすればよいのか?

保険会社が示談交渉できないのであれば、弁護士に示談交渉を依頼しましょう。

とはいっても「弁護士費用が非常に掛かるのではないか?」と不安になる方も多いかと思います。

そこで利用したいのが自動車保険に付加できる「弁護士費用特約」です。

 

弁護士費用特約とは?

「弁護士費用特約」とはご契約の自動車の事故で相手方に法律上の損害賠償請求を行うための弁護士費用・法律相談・

書類作成に関する費用を補償できる特約です。

保険会社や自動車保険プランによって弁護士費用特約の補償範囲は異なり、一般的には「自動車事故限定された範囲で補償」と

「自動車保険事故と合わせて日常生活における事故も含めた範囲で補償」となります。

 

このような特約を利用することで弁護士費用を気にせずにもらい事故の対応を専門の弁護士に依頼することが

できるので安心ですね。

 

本記事は一般的な自動車保険の内容に基づいて作成しております。そのため各保険会社によって取扱いが異なる場合があります。詳しくは各保険会社や代理店にお問い合わせください。

 

まとめると

もらい事故の場合には被害者側の保険会社は対応することが原則出来ません。
その理由は弁護士法に抵触する可能性があるためです。
そのため、もらい事故の場合には弁護士にその示談交渉を依頼することが良いでしょう。
自動車保険には「弁護士費用特約」という特約があります。
弁護士費用を補償するものであり万が一の時のために付加されることをお勧め致します。

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