生前贈与を活用した相続対策【3.教育資金の一括贈与】
(最終更新日:2019年12月18日)
目次
相続対策とは
一般的に相続対策とは、
・被相続人の意思に沿った相続を実行するとともに、残された家族がもめることを防ぐ
・相続税ができるだけかからないようにする
・納税資金を確保する
ために生前に準備しておくことをいいます。
相続対策には大きく分けて(1)遺産分割対策、(2)相続財産の評価額を下げる対策、(3)相続税納税対策の3つがあります。
ここでは、(2)相続財産の評価額を下げる対策 として生前贈与を活用する方法を紹介します。生前に財産を贈与することで、相続時の遺産総額が少なくなり、相続税の軽減につながります。
教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度
教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度とは、
・平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に
・直系尊属から
・30歳未満の子や孫に対し
・金融機関等との一定の契約に基づく贈与に関して
・子ども一人につき1,500万円までが非課税になる
制度です。
その分相続財産を減らすことができるので相続税の節税につながります。
対象となる教育費
対象となる教育費は下記の2つです。
(1)学校に支払う教育費
・入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
・学用品の購入費、修学旅行費、学校給食費など
(2)学校以外に支払う教育費
・学習塾などの費用
・習い事(スポーツ、ピアノ、絵画など)の費用
・通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費
非課税枠1,500万円のうち、(2)学校以外に支払う教育費は500万円が限度となります。
教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度の手続き
(1)贈与契約
贈与者(贈与する方)と受遺者(贈与を受ける方)との間で贈与契約を行います。
(2)教育資金贈与信託の申込
教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度を受けるには、信託銀行などで「教育資金贈与信託」を契約し、入出金のやりとりをする必要があります。
(3)贈与を行う
教育資金口座に一括贈与を行います。
(4)税務署に申告
教育資金非課税申告書を税務署に提出します。
(5)教育資金口座から払出し
教育資金口座から払出しを行い、教育費の支払いを行います。
支払いに充てた費用の領収書などを、金融機関に提出します。
(6)贈与契約の終了
教育資金口座に係る契約は、次の事由に該当したときに終了します。
・受贈者が30歳に達したとき
・受贈者が死亡したとき
・口座の残高がゼロになり、かつ、その口座に係る契約を終了させる合意があったとき
教育資金贈与を使い切れなかった場合
(1)使い切れずに余った場合
贈与された教育資金を30歳になるまでに使い切れなかった場合
①贈与者(祖父母や両親)へ返す
②受贈者(子や孫)がそのままもらう
という2つの方法があります。
どちらも「受け取った側が贈与税を支払う」ことになります。
(2)贈与した祖父母や両親が死亡した場合
贈与した祖父母や両親が亡くなり受贈者(子や孫)がそのまま受け取った場合、相続税はかかりません。
(3)贈与を受けた子供や孫が死亡した場合
受贈者(子や孫)が死亡した場合、受贈者(子や孫)に贈与税はかかりません。使い切れなかった教育資金は、相続財産として直系尊属へ相続されることになるのが一般的です。
専門家に相談しよう
この制度を活用の際には専門家に相談するとよいでしょう。
保険相談サロンFLPでは、無料で税理士や相続診断士に相談できる「あんしん相続サポート」というサービスを行っています。