医療保険、シニア世代にも必要?公的な医療保障を踏まえた必要性
(最終更新日:2019年12月18日)
シニア世代は病気やケガのリスクに対してはどのように備えたらよいのでしょうか。そもそも老後生活に医療保険は必要なのでしょうか。
シニア世代の入院や通院のリスク
病気にかかるリスクは年齢を重ねるにつれ高くなります。厚生労働省の平成23年患者調査によると、65歳以上の高齢者は入院・外来ともに受療率が急激に上がっています。
年齢階級別にみた受療率
年齢階級 | 入院 | 外来 |
---|---|---|
全年齢 | 1.1% | 5.8% |
20~24 | 0.2% | 2.3% |
25~29 | 0.3% | 2.7% |
30~34 | 0.3% | 3.0% |
35~39 | 0.3% | 3.2% |
40~44 | 0.3% | 3.4% |
45~49 | 0.5% | 3.9% |
50~54 | 0.6% | 4.6% |
55~59 | 0.9% | 5.4% |
60~64 | 1.1% | 6.8% |
65歳以上 | 3.1% | 11.4% |
70歳以上 | 3.7% | 12.4% |
75歳以上 | 4.6% | 12.7% |
(出典)厚生労働省 平成23年患者調査
公的な医療保障
厚生労働省がまとめた「国民医療費」によれば、65歳以上の国民1人あたり年間医療費は70万円程度です。1ヵ月では約6万円弱ということでかなり高い印象を持たれる方も多いと思います。
ですが、公的な医療保障があるのでそこまでの費用はかかりません。主な2つの制度をみていきましょう。
医療費の自己負担
公的医療保険により医療費の自己負担は3割で済みます。特に75歳以上は後期高齢者医療制度が適用され、医療費の自己負担は1割で済みます。
医療費の自己負担額
年齢 | 医療費の負担割合 |
---|---|
70歳未満 | 3割 |
70歳以上 | 1割 ※現役所得者は3割 |
(出典)厚生労働省ホームページより 2015年6月現在
高額療養費制度
さらに、高額療養費制度により、たとえ入院や通院する回数が増え医療費がかさんでも、1ヵ月にかかる医療費の自己負担額には上限が定められていて、申請すれば払いすぎた分が払い戻されます。(※事前申請すれば窓口でも本来の自己負担分を支払うだけで済みます)
例えば一般的な世帯所得の場合、70歳未満であれば1ヵ月8万円程度、70歳以上なら1ヵ月44,400円以上はかからない仕組みになっています。
民間の医療保険は必要?
以上から、高齢になると医療費が増えるのは確かですが、公的な保障により自己負担額は軽減されます。その上で医療保険に加入する際の理由として下記のような理由があります。
•公的医療制度でまかなえない費用(差額ベッド代、交通費、生活用品代など)に備えたい
•先進医療の保障をもちたい
しかし、高齢になると保険料もそれなりに高いため、民間の医療保険が必要かどうかは慎重に検討した方がよいでしょう。「何が何でも保険に入っておかないと」と考えず、支払う保険料と得られる保障のバランスをよく考えることが必要です。
・65歳以上の高齢者は入院・外来ともに受療率が急激に上がっていき、医療費が増えますが、公的な保障により自己負担額は軽減されます。
・高齢になると保険料もそれなりに高いため、民間の医療保険が必要かどうかは慎重に検討した方がよいでしょう。