医療保険に加入すれば、がんの心配はいらない?
(最終更新日:2019年12月18日)
医療保険に加入していれば、がんで入院や手術した場合でも保障されます。
では、医療保険に入っていればがんの治療費はカバーできるのでしょうか。
目次
がんと診断される人の割合
生涯でがんに罹患する(がんだと診断される)確率は、男性が61.5%、女性が46.2%です。
生涯でがんと診断される人の割合
(出典)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」グラフデータベース罹患データ(全国推計値)(2013年データ)
年齢別で見ると、下記のように、がんにかかるリスクは年齢と共に高くなります。
がんにかかるリスク(年齢階級別 累積罹患リスク 2013年 全部位)
(出典)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」グラフデータベース罹患データ(全国推計値)(2013年データ)
がんで死亡する確率
一方、がんで死亡する確率は28.9%となっており、約3人に1人ががんで死亡していることになります。
主な死因別死亡数の割合
(出典)厚生労働省「平成26年人口動態統計月報年計」
がんにかかった場合の費用
医療費
全日本病院協会によると、がんになると平均して以下のような医療費がかかります。
高額療養費の自己負担限度額(70歳未満の場合)
がんの種類 | 医療費自己負担額 | 入院日数 |
---|---|---|
直腸がん | 336,489円 | 18.7 |
胃がん | 292,518円 | 18.8 |
乳がん | 229,449円 | 12.9 |
肺がん | 227,571円 | 14.1 |
(出典)全日本病院協会「2013年 疾患別の主な指標」
さらに、高額療養費制度により、1か月の医療費自己負担の上限を超えた場合に払い戻しが受けられます。
現役世代で一般的な収入の人なら1ヵ月9万円程度、4ヶ月目からは一律44,400円の自己負担額で済みます。
医療費以外にかかる費用
医療費以外に、健康保険の対象外で全額自己負担となる費用には以下のようなものがあります。
•差額ベッド代(平均約5,828円/日※)
•食事療養費の負担分
•病室でのテレビ代
•家族の交通費
•先進医療の技術料
※(出典)厚生労働省 中央社会保険医療協議会 2013年10月「主な選定療養に関わる報告状況」
まとめると、もしがんで20日間入院した場合
•医療費の自己負担金額:約9万円
•差額ベッド代:約12万円(平均5,828円/日×20日)
•その他諸費用:約10万円
とすると合計31万円となります。
1日1万円の医療保険に入っていれば20万円の入院給付金を受け取れ、手術をしない場合は約11万円を貯蓄から捻出することになります。
手術をした場合は手術給付金により、費用をまかなえる可能性があります。
医療保険だけでがんの治療費をカバーするのは難しい
以上のように、医療保険に加入していれば、入院にかかる費用をまかなえる可能性があることがわかりました。
しかし、医療保険に入っていれば「がんの時も安心」とは言えません。
がんになった時の最も大きな経済的なリスクは入院時ではなく、退院後、職場復帰するまでの働けない期間の収入減少のリスクです。
がんになって退院した時、皆さんは翌日から働けるでしょうか?多くの場合は通院をして治療をしながら自宅療養をすることになるでしょう。
その期間は収入が減少している中で通院の治療費もかかる状態です。しかも退院しているので医療保険の入院給付金は受け取れません。
会社員や公務員の場合は休業中、標準報酬月額の3分の2に相当する金額を1年6ヶ月受け取れる「傷病手当金」という制度である程度カバーできますが、自営業者などが加入する国民健康保険の場合は、傷病手当金はありませんので特に注意が必要です。
がんのような重い病気の場合は退院後の収入減少や通院治療に対する費用を医療保険だけでまかなうのは難しいでしょう。
がん保険や三大疾病保険で備える
このような、がんになったときの退院後の収入減少や通院治療に対する費用に備えるには、がんと診断されたら100万円単位のまとまった金額が受け取れるがん保険や三大疾病保険が経済的に安心度が高いといえるでしょう。
・がんのような重い病気の場合は退院後の収入減少や通院治療の経済的リスクが大きいのでを医療保険だけでまかなうのは難しいでしょう。